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武田 聖司; 水無瀬 直史; 木村 英雄
JAERI-Conf 2004-011, p.133 - 134, 2004/07
高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分における安全性評価では、その評価期間が数万年以上の長期に及ぶため、バリア材の不均質性/劣化,隆起・侵食等のさまざまな時空間的な変動要因による不確かさの影響を評価する必要がある。現在、こうした地層処分における時空間的な変動に起因したパラメータ値のばらつきの検討及び評価コードの開発を行っている。本研究では、昨年度までの影響解析から特にデータ不確かさの把握の重要性を指摘した天然バリアを対象に、おもに地質媒体,地下水組成の不均質性等に起因したパラメータの空間的変動の不確かさが安全評価へ与える影響の把握のため、透水係数,分配係数,実効拡散係数等のパラメータについて、空間的変動特性を収集データから推定した。また、その推定したパラメータの変動特性に基づく確率論的解析を行い、特に天然バリアにおけるパラメータの空間的変動に関する不確かさの影響について、定量的に検討した。
小川 弘道; 田中 忠夫; 向井 雅之; 前田 敏克; 宗像 雅広; 松本 潤子; 馬場 恒孝; Li, S.*; Wang, Z.*; Li, Z.*; et al.
日本原子力学会和文論文誌, 2(3), p.332 - 335, 2003/09
原研と中国輻射防護研究院(CIRP;China Institute for Radiation Protection)との共同研究として実施したTRU核種に関する野外核種移行試験の概要とともに、本特集「TRU核種に関する野外核種移行試験」の構成と主要な成果を記述した。
宗像 雅広; 木村 英雄; 田中 忠夫; 向井 雅之; 前田 敏克; 小川 弘道
日本原子力学会和文論文誌, 2(3), p.361 - 367, 2003/09
中国輻射防護研究院で実施された実験データを用いて、浅地中処分安全評価コードシステムGSA-GCLの妥当性検証を実施した。野外環境調査,人工バリア試験,通気層試験,帯水層試験で得られた核種移行評価用パラメータを選定し、多孔質媒体中地下水流・核種移行モデルによる解析結果を実験結果と比較した。解析結果は実験結果と概ね一致しており、地層中核種移行現象を合理的に説明できた。
田中 忠夫; 向井 雅之; 前田 敏克; 松本 潤子; 小川 弘道; 宗像 雅広; 木村 英雄; 馬場 恒孝; 藤根 幸雄
原子力eye, 49(2), p.76 - 79, 2003/02
原研が中国輻射防護研究院との共同研究プロジェクトとして実施した、アルファ核種を用いた野外核種移行試験の概要を紹介した。中国で実施した3年間にわたる野外核種移行試験からアルファ核種などの放射性核種に対して実地下環境での移行データを取得した。その結果、天然の地層の持つ大きな移行抑止効果を世界で初めて定量的に示すことができた。また、計算結果と野外試験結果の比較によって、原研で開発した浅地中処分安全評価コードGSA-GCLの天然バリアモデルの妥当性を検証できた。
白川 敏彦*; 金澤 康夫*; 畑中 耕一郎
JNC TN8400 2001-012, 69 Pages, 2001/04
地層処分研究の天然バリア中の核種移行に係わる不均質岩盤中における巨視的分散現象を解明するために、多孔質媒体水理トレーサー試験装置(以下、「MACROII」と記す)を用いて、多孔質媒体槽内にガラスビーズを用いて不均質場を人工的に作成し、種々の条件を設定したうえで、数多くのトレーサー試験を実施してきた。今回は室内試験における分散長のスケール依存性を調べることを目的として、媒体槽を水平状態に固定し、不均質場の任意の位置に設置した単一孔を使用して注水・揚水型トレーサー試験を実施した。試験は、不均質場内に設置した注水・揚水型トレーサー試験に使用する単一孔の位置及び注入流量・注入時間を変えることによって、2地点において各々9ケース、6ケースの全15ケースを実施した。本試験で測定された揚水時の破過曲線を解析解でフィッティングし、巨視的分散長を算定した結果、15ケースのうち12ケースについて不均質場を代表する分散長を得ることができた。算定した分散長、注入・揚水流量および不均質特性の関連について検討した結果、以下の事項が判明した。・算定された分散長と単一孔周辺に広がった濃度フロントの平均半径との関係は、濃度フロントの平均半径が大きくなるにしたがって分散長がほぼ単調増加する傾向が確認できた。・トレーサーを注入・揚水する単一孔を2地点選び試験を実施したが、単一孔周辺の透水性が小さくなっている場合には分散長は大きくなり、単一孔周辺の透水性が大きくなっている場合には分散長は小さくなる傾向が確認された。・フィッティングの精度が悪く分散長が算出できなかった3ケースについては、濃度フロントに分散が著しく小さい箇所が存在する可能性があることがわかった。
澤田 淳; 坂本 和彦*
JNC TN8400 2001-010, 25 Pages, 2001/03
第2次とりまとめにおける天然バリア中核種移行評価は、亀裂ネットワークモデルによる不均質な移行経路を考慮した核種移行解析評価に基づき実施している。亀裂ネットワークを用いた核種移行解析については、亀裂ネットワークモデルの計算容量の制限から亀裂の連結性を考慮したチャンネルネットワークモデルに変換して用いている。しかし、亀裂ネットワークモデルからチャンネルネットワークモデルへの変換には複数のオプションがあり、第2次とりまとめのため基本ケース解析ではそのうちの特定の設定を選択している。これらのオプションが解析結果に与える影響を検討した結果、いずれのオプションもチャンネルネットワークモデルのチャンネルの連結性やその透水特性に影響を与えるものの、核種移行解析結果に与える影響は小さいことがわかった。以上のことから、チャンネルネットワークモデルへの変換過程で複数のオプションから任意に設定した基本ケースの妥当性を示すことができた。
大津 宏康*; 田中 誠*; 土山 富広*
JNC TY8400 2000-006, 45 Pages, 2000/03
サイクル機構では、地層処分研究に係わる天然バリアの性能評価において、我が国の岩盤を亀裂ネットワークによりモデル化するために、我が国の岩盤における亀裂特性について調査研究を進めてきた。しかし、これまでに得られた情報は、釜石鉱山をはじめとした花崗岩が主体で他地域や異岩種に関する情報が少なく、我が国の岩盤における亀裂特性を論ずる上で十分でない。そこで、本研究では、日本全国のトンネルや地下空洞で測定された亀裂データを利用して我が国の岩盤における亀裂特性を明らかにするとともに、亀裂ネットワークモデルの信頼性について検討することを目的とする。本年度は、昨年度に引き続き日本全国のトンネル、大規模地下空洞、ダム基礎など10サイトで観察された亀裂データについて亀裂データベースを作成し亀裂特性の評価を実施した。その結果、亀裂のトレース長に関しては、数m数100mのスケールにおいてはトレース長の累積頻度が岩種に拘わらず対数軸上でほぼ一直線上に分布することがわかった。すなわち、第2次取りまとめで採用した仮定、亀裂の大きさは、べき乗分布に従う。の妥当性を裏付ける結果が得られた。
斎藤 茂幸*; 杉山 和稔*; 諸岡 幸一*
JNC TJ8400 2000-043, 170 Pages, 2000/03
本委託研究は、地層処分における天然バリアの性能評価に資するため、天然バリア中の物質移行経路に関するデータを実際の岩盤性状を把握することにより収集し整理するものである。透水性の高い大規模な断層の存在は地層処分の性能評価に大きな影響を及ぼす。核燃料サイクル開発機構が取りまとめた「地層処分研究開発第2次取りまとめ報告書」では、天然バリアのレファレンスケース概念モデルとして、「処分場は、その安定性や性能に影響を及ぼす可能性のある活断層や透水性の高い主要な断層から少なくとも100m以上離して配置される」としている。そして、「レファレンスケースでは処分場領域内及び処分場から下流側断層までの母岩と下流側断層が安全評価の対象となる」としている。地下深部の断層の分布を把握することは、多数のボーリングに加え、坑道調査が必要となる等、一般にデータ取得が困難である。本研究ではすでに坑道が掘削され、資料としても豊富な情報がある鉱山を対象に、大規模な断層等の分布を把握し、天然バリアにおける主要な透水経路について考察するものである。今年度に実施した内容は次の通りである。(1)既存試料による亀裂、破砕帯、地質等の情報の整理、(2)坑内における亀裂・破砕帯等の構造の調査、(3)調査結果の整理、(4)主要透水構造のモデル化の検討、(5)第2次取りまとめにおける仮定に係わる評価
篠原 芳紀*; 辻本 恵一*
JNC TJ1400 2000-002, 280 Pages, 2000/02
数値地層処分システムは、核燃料サイクル開発機構殿が所有している高レベル廃棄物地層処分の研究開発の成果をシステムに蓄積し、計算機上の処分場モデルに統合・集約するシステムである。本研究では、昨年度に引き続いて数値地層処分システムの概念設計を行った。地層処分事業全体を見通して数値地層処分システムの目的と機能を検討した。従来研究では十分なリンクがなされていなかった地質環境評価、処分技術、及び、性能評価について、相互の有機的な関係についてイタラティブな解析を実行する事により、人工・天然バリアのより定量的な評価、建設・操業形態の検討を可能とし、今後の具体的な地質環境条件を対象とした地層処分システムの安全裕度の定量化、及び、設計合埋化を行う事が期待される。また、この目的を実現するために必要な機能要件の抽出を行った。次に、数値地層処分システムを構成するシステムのコード、データベース、ユーティリティについて個々のサブシステムの目的と機能を検討し、概念設計を行った。地質環境評価システム、性能評価システム、処分場因子データベース、経済性評価システム、調査支援システム、品質管埋システム、及び、可視化システムの概念設計を行った。システムの全体設計では、コンピユータ・システムの観点から数値地層処分システムの検討を行った。システムの全体構成、システムに最適なソフトウェア及びハードウェア構成の検討、運用形態の検討、並列化技術の確認、プラットフォームの概念設計、及び、プラットフォームのデモンストレーションプログラムの作成を行った。この検討結果を基に、プロトタイプの開発計画を含む数値地層処分システムの開発計画を、平成12年-平成16年頃までの処分候補地選定段階について策定した。以上の検討により数値地層処分システムの概念を構築する事ができた。
篠原 芳紀*; 辻本 恵一*
JNC TJ1400 2000-001, 137 Pages, 2000/02
数値地層処分システムは、核燃料サイクル開発機構殿が所有している高レベル廃棄物地層処分の研究開発の成果をシステムに蓄積し、計算機上の処分場モデルに統合・集約するシステムである。本研究では、昨年度に引き続いて数値地層処分システムの概念設計を行った。地層処分事業全体を見通して数値地層処分システムの目的と機能を検討した。従来研究では十分なリンクがなされていなかった地質環境評価、処分技術、及び、性能評価について、相互の有機的な関係についてイタラティブな解析を実行する事により、人工・天然バリアのより定量的な評価、建設・操業形態の検討を可能とし、今後の具体的な地質環境条件を対象とした地層処分システムの安全裕度の定量化、及び、設計合埋化を行う事が期待される。また、この目的を実現するために必要な機能要件の抽出を行った。次に、数値地層処分システムを構成するシステムのコード、データベース、ユーティリティについて個々のサブシステムの目的と機能を検討し、概念設計を行った。地質環境評価システム、性能評価システム、処分場因子データベース、経済性評価システム、調査支援システム、品質管理システム、及び、可視化システムの概念設計を行った。システムの全体設計では、コンピユータ・システムの観点から数値地層処分システムの検討を行った。システムの全体構成、システムに最適なソフトウエア及びハードウェア構成の検討、運用形態の検討、並列化技術の確認、プラットフォームの概念設計、及び、プラットフォームのデモンストレーションプログラムの作成を行った。この検討結果を基に、プロトタイプの開発計画を含む数値地層処分システムの開発計画を、平成12年-平成16年頃までの処分候補地選定段階について策定した。以上の検討により数値地層処分システムの概念を構築する事ができた。
澤田 淳; 井尻 裕二; 坂本 和彦*; 亘 真吾
JNC TN8400 99-093, 58 Pages, 1999/11
本報告書は、地層処分研究開発の第2次とりまとめ(わが国における高レベル放射性廃棄物の地層処分の技術的信頼性)の天然バリア中核種移行評価に資することを目的に、亀裂特性の不均質性を考慮した核種移行評価手法について検討した結果をとりまとめたものである。解析評価においては、100メートルスケールの亀裂性岩盤を対象に、3次元亀裂ネットワークモデルならびに1次元モデルの重ね合わせ手法を用いた。亀裂ネットワークモデルを用いた核種移行解析の結果、核種移行率はリアライゼーション毎に異なるものの、数10個のリアライゼーションを用いることでその統計的な傾向を捕らえることが可能で、かつその信頼区間を評価することができることがわかった。また、設定した基本ケースのデータ設定の範囲においては、亀裂構造に関わるパラメータ(亀裂密度、半径等)が100mスケールの核種移行遅延効果に与える影響は小さいことがわかった。核種移行遅延効果に対して影響が大きい透水量係数の不均質性に着目した1次元モデルの重ね合わせ手法を用いて解析した結果が亀裂ネットワークモデルを用いた解析結果にほぼ近似できることがわかった。ただし、本手法の適用においては、移行経路特性の核種移行遅延効果に対する影響を把握した上で適用することが肝要と考えられる。さらに、3次元亀裂ネットワークの結果が1次元モデルの重ね合わせにより近似できることから、亀裂ネットワーク構造内における処分坑道から下流側断層に至る大きな亀裂が核種移行評価上重要な役割を果たすことが示された。
井尻 裕二; 澤田 淳; 坂本 和彦*; 亘 真吾; K.E.Web*; 中島 研吾*; 野邊 潤*
JNC TN8400 99-092, 91 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分における天然バリアの性能評価においては、我が国の岩盤を亀裂中の流れが支配的な亀裂性岩盤と岩石基質内の流れが支配的な多孔質岩盤に分類し、それぞれに対して亀裂ネットワークモデルを用いた核種移行評価手法と不均質連続体モデルを用いた核種移行評価手法を開発した。本書は、後者の多孔質岩盤モデルによる核種移行評価手法とその評価結果について報告するものである。多孔質岩盤モデルに関しては、東濃鉱山の新第三紀堆積岩で測定されたデータに基づいて不均質連続体モデルを構築し、核種移行解析を実施した結果、Se-79やCs-135が支配的な核種となることがわかった。多孔質岩盤モデルに対するパラメータの感度を評価するために1次元均質モデルを用いて感度解析を実施した結果、有効間隙率が解析結果に及ぼす影響は小さいのに対し、透水係数が結果に及ぼす影響は大きいことがわかった。また、岩種では泥質岩・凝灰質岩よりも砂質岩の方が、地下水では降水系地下水よりも海水系地下水の方が分配係数が小さく核種移行率が大きくなることがわかった。さらに、亀裂だけでなく岩石基質中の流れも有意な亀裂性岩盤と多孔質岩盤の特性を併せ持つ一部の新第三紀堆積岩に対して亀裂性岩盤モデルと多孔質岩盤モデルの重ね合わせにより評価を実施した結果、多孔質岩盤モデルよりも亀裂性岩盤モデルの方が保守的に評価されることがわかった。本書で得られた結果は、東濃鉱山の深度数10mから200m以浅のボーリング孔で得られたデータに基づいた結果であるため、実際の処分深度500mでは岩盤の透水性はさらに低くなり、核種移行率もさらに低減されると考えられる。
井尻 裕二; 澤田 淳; 赤堀 邦晃
JNC TN8400 99-091, 69 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分における天然バリアの性能評価研究においては、岩盤中の支配的な核種移行経路となる亀裂の特性を把握しておく必要がある。本書は、既往の文献調査および釜石鉱山や日本全国の露頭や鉱山坑道壁面で実施した亀裂調査結果をもとに、我が国における地下岩盤の亀裂特性(亀裂の方向性、形状、頻度、空間分布、透水量係数、開口幅、亀裂内充填鉱物、亀裂周辺変質部、流路面積[開口部面積]およびこれらの相関関係)に関してまとめたものである。その結果、典型的な亀裂性岩盤である花崗岩中の亀裂特性に関しては、既往の文献も多いのに加え諸外国の性能評価研究や釜石鉱山での調査などデータが豊富であることから、ある程度定性的・定量的な評価が可能であることが示された。一方、花崗岩以外の岩種における亀裂特性に関しては、花崗岩と比較してデータも少なく定性的・定量的な評価は難しいことが示された。
佐藤 治夫
JNC TN8400 99-061, 9 Pages, 1999/10
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価における天然バリア中での核種移行解析のための入力パラメータとして、釜石鉱山の割れ目破砕帯(割れ目タイプC: 花崗閃緑岩健岩部、変質部、割れ目充填鉱物部より構成)より採取した岩石に対する間隙率および密度を水中飽和法により測定した。その結果、平均して8.60.43%とこれまでに同鉱山から採取された単一割れ目を伴う岩石(割れ目タイプB:花崗閃緑岩健岩部2.3%、変質部3.2%、割れ目充填鉱物部5.6%)と比較して大きい間隙率であった。一方、密度は平均して2.430.0089Mg/mであり、割れ目タイプBを構成する各岩石のどの密度よりも小さい値であった。このことから、放射性核種は割れ目破砕帯で最も移行しやすいことが予想される。
not registered
JNC TN1400 99-019, 117 Pages, 1999/10
平成11年9月14日の科学技術庁原子力安全局放射性廃棄物規制室からの協力依頼に基づき、放射性廃棄物安全研究年次計画(平成8年度平成12年度)に登録される研究課題(20件)について平成10年度安全研究の調査票(平成8年度平成l0年度の成果)を作成した。本報告書は、国に提出した調査票を取りまとめたものである。
木村 英雄; 武田 聖司; 高橋 知之*
JAERI-Data/Code 99-033, 54 Pages, 1999/06
計算コードGSA-GCLは、埋設濃度上限値を上回る低レベル放射性廃棄物等の処分方策及び処分概念の安全性を検討する目的のために開発されたものである。本評価手法は、特定のサイトを前提とした評価コードではないが、地下水流解析コード等の詳細モデルの解析結果に基づき、処分施設から生態圏に至る移行経路を推定することで、ある程度サイト特性を反映させた解析も可能となっている。本報告書は、本コードの数学モデル、コード構造及び使用法を記述したものである。
斎藤 茂幸*
JNC TJ1400 99-014, 173 Pages, 1999/03
本委託研究は、ニアフィールド岩盤中の物質移行経路のモデル化の基礎となるデータを、実際の岩盤性状を把握することにより収集し、ニアフィールドにおける天然バリア性能の定量化に資することを目的として平成5年より実施されてきた。本年度においては、これまで本研究において取得してきた移行経路調査及び岩石試料を用いたミクロな空隙構造調査のデータの取りまとめを行った。西暦2000年に核燃料サイクル開発機構(JNC)が報告する予定の「地層処分研究開発第2次取りまとめ」では、天然バリアの安全評価に関わる水理解析及び核種移行解析において亀裂ネットワークモデル及びチャンネルネットワークモデルが採用されることになっている。本委託研究の本年度の取りまとめは、その亀裂ネットワークモデルヘのデータの提供を念頭に置き、必要なパラメータや考慮事項となる特性に関するデータの整理を行い、以下の事項に関する整理結果を示した。(1)物質移行経路となる地質的特徴の種類(2)亀裂の分布に関する特性(亀裂の方向性、亀裂のトレース長、亀裂の発達頻度)(3)亀裂の内部及び周辺の構造(亀裂の幅、亀裂充填物、亀裂周辺の変質部)(4)マトリクス部分の特性(マトリクスの異方性に影響を与える構造、マトリクス部分からの湧水)(5)断層・破砕帯の特性(内部構造、分布)(6)マトリクス拡散の場となりうる移行経路の特性 上記の検討結果をもとに移行経路となる地質構造モデルのパターン化を行い、さらに現場観察に基づく物質移行概念モデルの不確実性に関する検討を行った。
鈴木 篤之*; 長崎 晋也*
JNC TJ1400 99-028, 62 Pages, 1999/02
前半部では、非結晶性鉄酸化物コロイド粒子へのNpO/SUB2/SUP+の吸着拳動に関して吸着平衡と吸着速度という2つの観点から検討を加えた。その結果、吸着挙動はバルク溶液とコロイド粒子外表面間の遠い吸着と、コロイド粒子内のマイクロポアに拡散し吸着する遅い吸着の2つのステップから構成されることを明らかにした。また、外表面へのNpO/SUB2/SUP+の吸着が内圏型吸着であること、マイクロポア内の表面拡散係数が2.010/SUP-13cm/SUP2/Sであることを示した。後半部では、ab initio計算法を用い、数種類のウラニル錯体の振動数を評価しラマン分光などの実測結果と比較するとともにウラニルイオンの水和の影響について考察を行った。また、銀コロイド粒子へのウラニルイオンの吸着挙動の解析を行い、ラマン分光法の実験結果とも合わせて、内圏型での吸着の可能性が高くそのときの銀-ウラン原子間距離が3A○であると評価した。
小山田 潔*
JNC TJ1400 99-023, 63 Pages, 1999/02
本研究は、サイクル機構が実施している第二次取りまとめ(以下H-12レポートと称する)における亀裂ネットワークモデルによる地下水流動解析について、概念モデルやデータに起因する不確実性を評価することを主眼として、複数の異なる研究機関によって開発された同種の解析コードを用いて解析を実施し、得られた結果を相互に比較することにより、(1)仮想的なサイトを対象としたH-12レポートにおける地下水流動解析で見過ごされている可能性のある不確実性要因を抽出する(2)それぞれの不確実性要因が解析結果である地下水流動にどの程度の影響を及ぼし得るかを定量的に示す ことが主要な目的である。また、主要な差異の分析を通じて、上記の相互比較の結果がH-12レポートドラフトの性能評価の信頼性にどのようなインパクトを持ち得るか、そして、今後の研究開発においてどの様な事項が課題として認識される必要があるかについて検討を加えた。各研究機関の解析は2段階に分けて実施された。第1段階は、平成10年11月時点でのH12レポートドラフトと同じ条件及びデータを用いて、各研究機関が開発した水理解析コードを用いて解析を実施し、各コードの特徴や制約条件を明らかにした。第2段階は、JNCがH12レポートドラフトの作成について参考とした文献情報や、JNCがこれまでに実施した試験結果を提供し、これらの情報について、各研究機関が独自に解釈を行い、モデルやパラメータの代替案を作成し、解析を実施することによって、着目したオプションがどの程度解析結果に影響を及ぼすかを検討した。解析結果を総合すれば、各機関種々のモデルによって得られた結果は、比較的小さな差異しか示さなかった。第2段階で各機関が着目したオプションの種類によって、差異の程度は異なるものの、H-12レポートにおける水理解析結果は、他の手法によっても再現可能な代表性を有するものと考えられる。今後の課題としては、水理解析結果に核種移行解析を付加して、核種移行抑制性能を含めた多様な指標により比較検討を実施し、解析モデルの信頼性向上を図ることがあげられる。